WMA Dr.デヴィッド・ジョンソン氏の講演を聞いて


10/28にWMA(Wilderness Medical Associates )の総代表であるDr.デヴィッド・ジョンソン氏の講演を聞いてきました。
俱知安観光協会がこれから入る冬シーズンに向けてニセコで開催されました。ガイドやアウトドア関係者が多数参加していました。外国人の方もいました。

野外や災害など医療機関までの搬送に時間がかかる状況ををウィルダネス状況下と定義しています。ウィルダネス状況下でのファーストエイド(野外災害救急法)のことです。
直前に北海道アウトドアフォーラムで、WMAジャパンの寺田氏のワークショップを受け、総代表であるDr.デヴィッド・ジョンソン氏がニセコに来るということで参加いたしました。

Dr.デヴィッド・ジョンソン氏は、現場経験がかもしだす力強く自信のある声が印象的でした。
講演内容は、WMAの組織やウィルダネス状況下でのファーストエイド(救急法)の概要の説明でした。1,2時間で技術な内容までできるものではありませんので。

質疑応答の時間が設けられました。
過去に私が体験したファーストエイドの検証と改善点が見つかりました。

医療に従事しているわけではありませんので、実際に事故に遭遇することは滅多にありません。しかしゼロではありません。異常時に適切な行動がとれるかどうかが問題なわけです。現場で頭が回るようにこういった講演やセミナーなどの機会があれば参加するようにしています。

災害が起こりやすいサイクルに入っています。
なにも危ない野外なんていかなくてもいいじゃないかと思うかもしれませんが、災害時になれば嫌が応でもウィルダネス状況下に置かれます。

まずは自分の身の安全を守るための自助です。それができて他の人の共助ができます。

Dr.デヴィッド・ジョンソン氏の話で、「考え続けろ」と「選択肢は他にもあることが多い」というのが強く印象に残っています。
ありがとうございました。

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投稿者名 上野陸 投稿日時 2018年10月31日 | Permalink

同調性バイアス


今日は、同調性バイアスの話をします。
空気を読むとか右に倣えみたいなものでしょうか。

グループでパラグライダーを体験する場合には、最初の人の出来がその場の空気を作ってしまう傾向にあります。
初めて空を飛ぶので、少なからず不安があるからです。

人は社会的な動物ですので、二人以上の複数になると集団的な心理が働きます。

集団の空気に行動を合わせてしまうことを「同調性バイアス」といいます。
認知バイアスのことで偏り(かたより)のことです。思い込み、先入観とかです。

グループで最初に上手くフライトできると、「俺も飛ぶぞ!」とモチベーションが上がるのですが、最初に失敗し「むずかしい」と口に出してしまうと「むずかしい」症候群が発生します。「むずかしい」症候群は思考停止を招いてしまいます。

フライトするという遺伝子はヒトにはありません。後天的に学習するものなので、上手くいかなくて当たり前なのです。
改善を重ねればよいので、できないことができることを楽しむものとも言えます。

またよくある場面としては、テイクオフでは緊張し心理的にストレスがかかる状況です。
認知バイアスが起こりやすい場面です。

テイクオフで前でトンビが上げているのに、見合ってだれもテイクオフしない。
雲ゆきが怪しくなっているのに、一人がフライトすると我先にとフライトしてしまう。

災害で避難しなければならないのに、この同調性バイアスとみられる避難行動をしないことによって、逃げ遅れるケースが報告されています。

社会生活を送るためには空気を読むのも必要な能力の一つです。
同調性バイアスは、自然の脅威のなかで生き延びてきた戦略だという説が納得がいきます。
敵から自分の身を守るために集団を形成し、大きく見せる。攻撃された場合には、捉えられた個体以外が、その隙をついて逃げるという戦略です。

人類は自然の脅威にさらされていた時間のほうが長いので、非日常、ストレスのかかる場面では、合理的ではない認知バイアスが起こりやすいのです。

ではどうすればいいのかというと、具体的な計画、リミットなどの行動を予あらかじめ決めておくことにつきます。
こういう心理が働きやすいことを知っておくと判断の助けになります。

パラグライダーは、非日常の事態が発生した時のいいトレーニングになります。
自然の変化に行動を合わせなければならないという要素があります。
キャンプは生きる基本である衣食住の実践になります。

楽しみながら生きる力を育てましょう!

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投稿者名 上野陸 投稿日時 2018年10月17日 | Permalink

秋冬のキャンプ 一酸化炭素中毒にご用心


秋冬のキャンプは夜冷え込みます。
暖をとったり、調理するのに寒いからといって密閉したテント内で、ガスや薪、炭を焚いてはいけません。

一酸化炭素中毒が起こるからです。
一酸化炭素は臭いも色もありません。

狭いテントに知らずに一酸化炭素が充満し、気がつくと倒れていて動けないということになりかねません。

車中泊でマフラーが雪がふさがり排ガスが逆流してしまうこともあります。
昨年のように、豪雪で渋滞が起こることもあります。
冬季は車に防寒着やシュラフは必需品です。

災害で停電が起こると、換気扇が使えません。
調理、火を使う場合は換気する必要があります。

低体温症を防がねばなりませんが、呼吸はもっと大事ですので備えが必要です。

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投稿者名 上野陸 投稿日時 2018年10月14日 | Permalink

【災害に役立つ】実践キャンプ 始めます!


地震、巨大化する台風などいつどこで災害に遭遇するか分からない時代になりました。
その後の停電や断水、食料や生活物資の物流の寸断がおこります。
行政やインフラの想定を超える災害が起こってしまっています。

私たちは助けが来るまで間、自力で持ちこたえなければなりません。
これを自助といいます。
広範囲の災害でなれば三日で復旧や助けがきます。

実際に東日本大震災、北海道胆振東部地震でライフライン被災を経験しています。

その時に役にたったのが、キャンプの装備や知識、備蓄している保存できる食料、パラグライダーで行っているリスク管理の知識でした。

今回その経験と知識をまとめて、プログラム化しました。

災害の備えといっても準備ができないものです。それは人は未知のネガティブなものには備えることができないという心理的な働きがあるためです。

私も災害のために準備をしていたわけではありません。いつものキャンプやパラグライダーの遊びを応用しただけです。
義務で行っても、ストレスのかかる災害時に確実に行えるかは分かりません。
遊びは、繰り返し行っても飽きないです。
やはり最強の学習方法です。

【災害に役立つ】実践キャンプで行うことです。
テントの張る場所や張り方を実践します。

パラグライダーのレスキューでビバーク(緊急な野営)しなければならないことを想定して、軽量で簡単な調理器具を研究した結果です。
固形燃料を使った炊飯、調理を実践します。

焚き火で、火のつけ方、火の管理を実践します。

災害に遭うと、心理的な働きのため合理的な行動がとれないことが分かっています。
災害への備えのコツ、災害に遭った時の心理的状況をセミナー方式でお伝えします。

スケジュール 
一泊二日(16:00スタート、翌日朝8:30解散)
¥7,500
テント、シュラフ、シュラフシーツ、
炊事道具、
食料、(お米、缶詰(カレー各種)、副食、即席麺、乾燥パスタ)

含まれていないもの
キャンプ場使用料、保険料、雨具、まくら

期間: 10月31まで(キャンプ場が終了するため)

年内のプログラム開始をめざして、準備にご尽力くださった関係者のみなさま、誠にありがとうございました。

一ヶ月もありませんが、みなさまのご参加お待ちしています。

詳細、お申し込みはこちらから


投稿者名 上野陸 投稿日時 2018年10月05日 | Permalink

台風25号の備え



台風25号が今週末に接近する予報になってきました。
台風21号、台風24号のダメージが回復していないタイミングなのでこのままではヤバそうです。

川の近くでは、洪水、山の近くでは、土砂災害に警戒しましょう。
逃げ足は早くです。
避難ルートは予め計画しておきましょう。

夜中の移動はリスクが高いので注意が必要です。


備えは三日分が目安


大規模な災害でなければ、三日あれば他の地域から助けがきます。

備えのコツは普段でも使えるものを併用することです。
使い方を思い出す必要がありませんので。


水の確保
体に必要な水 一人 一日2~3L(運動、体重によって変わる) × 三日分
生活用水 湯船に水を貯める
ペットボトルを冷凍しておいて保冷剤代わりに使う。
停電時に冷蔵庫にいれることもできる。

食料(三日分が目安)
エナジーバー(行動食につかえます)
ナッツ類(行動食につかえます。塩分なしはのどが乾きにくい。塩分ありはおつまみにも。)
乾燥麺類(お好みの即席ラーメン、パスタ)
お米
レトルト食品
缶詰
根菜類(じゃがいも、たまねぎ、にんじん)

調理できる器具、燃料
アウトドアで使っているものがあれば持ち運びができて便利。
ガスストーブ、ガソリンストーブ。
カセットコンロ。
百均の固形燃料は使えます。

電気
電池(充電式に順次変えています)
モバイルバッテリー
ラジオ(スマホ、携帯は、基地局のバッテリーが切れたらおしまいです。)
懐中電灯。ヘッドランプがベストです。両手が空くので便利です。

ガソリン
停電になるとスタンドの給油ポンプが動きません。自家発電があるところだけ営業できます。
普段からタンクの半分以上入れておく習慣を身につけておきます。
(ラジオやスマホの充電くらいはできます)
停電後、信号が消えている時の移動は事故に注意です。

なければあきらめることも大切
別の方法を考えましょう。
よほど大規模でないかぎり、三日もしのげば助けがきます。

人類の有効なサバイバル戦略の一つは、『逃げ足の早さ』です。
『悲観的に備えて、楽観的に対処』です。

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投稿者名 上野陸 投稿日時 2018年10月03日 | Permalink