災害発生から復興までの三つの局面


災害が発生してから復興までに三つの局面があると考えています。
それぞれの局面ごとに必要な行動を考えます。


私たちの住んでいる日本は、風向明媚な山や海が身近にあり、温泉があり安全な水があります。四季があり変化に富んだ豊かなところです。
しかし一方で、プレートに囲まれた地震の多発地帯で、台風や寒波など気象のリスクもあります。
そういうところに住んでいる私たちは、災害のリスクから逃れることはできません。

災害に対して、「自分の身を守る」、災害の被害を最小限に食い止めることによって、復興までの道のりを短縮することができると考えます。
そのために防災、減災という考え、備えが必要になります。

大きな災害になると、防災、減災といっても、それぞれ局面によって、事態の変化、必要なと知識や道具、行動が変わります。
災害発生から復興までをを三つ局面に分けて考えました。

第一の局面は、災害が発生する前の警報レベルから災害が小康状態になるまで、地震であれば余震が収まるまで、ー1日から3日後くらいまでです。
台風や大雨などの気象的なリスクは警報で知ることができます。しかし地震は今のところ予知ができません。

第一の局面は、災害の直接的な被害からの避難です。地震での建物の倒壊や家具の転倒、津波、火災、洪水、土砂災害、などからのその場から避難、あるいは脱出です。
この場面では自分の命は自分で守らなければなりません。「逃げ足の速さ」運動反射的な行動がものをいいます。
この局面での問題は、災害に対する認知の遅れです。正常性バイアスと同調性バイアスと呼ばれるヒトや集団が持っている「いつものことだ」「この前は大丈夫だったろう」「隣が逃げていないから大丈夫だ」等の心理的な傾向のことです。

第二の局面は、災害によってライフラインが止まり社会システムが機能不全に陥った状態です。災害発生から電力が回復するまでです。
災害によって大規模な停電や断水が発生します。私たちの生命維持に必要な安全な水や食料は、社会システムに頼っています。
東日本大震災と北海道胆振東部地震で3日間の停電を経験しましたが、今の物流や生産システムは効率化の元に停電に対していかに脆弱だったのかと痛感しました。

すぐには公助は手が行き届きません。被害が大きく緊急を要するところへ救助の力が注がれます。電力が復旧するまでは他のライフラインも復旧しません。
コンビニに代表されるように、今の日本ではいつでも便利にモノを手に入れることができます。平時ではストックが不要だと感じることがあります。個人の冷蔵庫でもコンビニやスーパー、ホームセンターであっても、余計なストックを持たないようにしているのではないでしょうか。
必要なモノであっても手に入れにくい状態です。
人口が密集した地域や大規模な災害では、3日間で復旧するとは思えません。

第三の局面は、電力が回復しインフラ全般がが復旧し、風評被害が収まった復興した状態です。災害の規模や地域差はありますが、約半年といわれています。
すぐに元の生活通りとは行きません。直接的な被害があるものは復旧が必要です。特に食品工場などは衛生面の問題があり再稼働には時間がかかると聞きました。
また風評被害も起こります。
被害が多ければ、その分復旧、復興が遅れるということです。
被害を最小限にすることで、復興までの道のりを短くすることができます。
これは物理的な復旧だけではなく、ヒトの気持ちの変化にもよります。


投稿者名 上野陸 投稿日時 2019年06月28日 | Permalink

あなたや周りの人は逃げることができますか?


災害発生時に人はパニックになり混乱が生じると思われていますが、実際には避難行動ができる人は二割で、あとの八割の人は行動ができないと言われています。

「広島県は、昨年7月の豪雨では、災害関連死を含め都道府県別で最多の130人以上の犠牲者が出て、県民の避難行動の遅れが課題として浮き彫りになった。」

避難行動の遅れの原因はヒトの心理的な行動原理が影響しています。
一つは正常性バイアスと呼ばれているものです。


正常性バイアス(せいじょうせいバイアス、英: Normalcy bias)とは、認知バイアスの一種。社会心理学、災害心理学などで使用されている心理学用語で、自分にとって都合の悪い情報を無視したり、過小評価したりしてしまう人の特性のこと。

自然災害や火事、事故、事件などといった自分にとって何らかの被害が予想される状況下にあっても、それを正常な日常生活の延長上の出来事として捉えてしまい、都合の悪い情報を無視したり、「自分は大丈夫」「今回は大丈夫」「まだ大丈夫」などと過小評価するなどして、逃げ遅れの原因となる。「正常化の偏見」、「恒常性バイアス」とも言う。
wikipediaより

「いつもの誤報。」「隣の人が逃げていないので大丈夫だろう。」「気のせいだ。」など行動を起こさない理由を見つけて結果的に逃げ遅れてしまう。

もう一つは、「イノベーター理論」というものです。新しい商品やサービスがマーケットへどのように普及するかという理論なのですが、しょせんヒトの行動原理なので、災害時の集団行動にも同様の力学が働きます。


https://www.motivation-up.com/motivation/innovator.html
「モチラボ」イノベーター理論より



東日本大震災で、釜石の奇跡と言われた例があります。同市が津波に襲われた際に小中学校の生存率が99.8%になった事例です。「人が死なない防災」の著者である片田敏孝さんは、岩手県釜石市で防災アドバイザーを務めました。その防災教育は、「自分の命を守ることに主体的たれ」「率先避難者たれ」という教育でした。
「率先避難者」というのが、イノベーターにあたります。

「地震が起きて、グランドに地割れが走ったのを見て、「津波が来るぞ!逃げるぞ!」と言って真っ先に逃げた釜石東中学校のサッカー部員達は、模範的な率先避難者でした。それを、他の中学生たちも次から次へと逃げた。それを見た小学生たち逃げた。さらに、それをじいちゃん、おばあちゃんも逃げた。」(本文より)


津波、洪水、土砂災害、火災事故などの緊急を要する災害では、一瞬の逃げ遅れが致命傷になってしまう厄介なものです。
最初に避難行動をとるイノベーターとそれに続く「逃げろー」というアーリーアダプターの存在が、全体の避難行動を決める鍵になります。


投稿者名 上野陸 投稿日時 2019年06月25日 | Permalink

アウトドアに学ぶ 災害の対応

もしものとき自分のいのちを守る

もしものとき自分のいのちを守る

こどもだけのときにも災害は起きます。 「自分のいのちを守る」ための『72時間サバイバル』です。



防災減災教育事業を始めるきっかけになったのは、東日本大震災、北海道胆振東部地震で、他の人がうまく対応できていないと感じたからです。
私も昔から急な変化に対応ができていたかというとそうではありませんでした。
子どものころは、インドア派で器用なほうではありませんでした。

では、なぜそういうものが身についたかというと長年のアウトドア活動からです。
自然の中では変化が起こります。

その中での振る舞いが、スキルとして定着したからです。

パラグライダーでのフライトを例にします。

テイクオフ時間、フライトコース、ランディング時間を、その日の気象条件に合わせてフライトプランを決めます。
しかしパラグライダーは、動力なしで、風に弱い乗り物です。
上昇気流、風の強さ向きに影響を受けます。
フライトプラン通りに行くとは限りません。

また、フライト中にインスピレーションが湧き起ることもあります。
上昇気流がありそうな雲をルート以外で発見したなどです。
自然の中ならではの醍醐味です。
試してみたい。
しかしそのため過度なリスクが生じたり、窮地に追い込まれるのは好ましくありません。

常に可能性とリスクの狭間にあります。
そのためのリスクマネジメントだと考えています。

フライト中は、風の変化、機体の制御など、優雅に飛んでいるというよりはけっこう忙しいのです。
昔から言われているのは、「パイロットの三割頭」です。
飛行中のパイロットは地上での三割しか頭が働かないからです。

もしフライトプランを変更する場合に自分に質問をします。
むずかしい質問はしません。
まちがう可能性もあります。

質問は次の3つです。

「なぜそう思ったか?その根拠は」
「メリットは?、デメリットは?」
「Bプランは?」(Bプランというの代替案のことです。現プランが失敗した場合のエスケーププランです。)

明確な答えがない場合もあります。
そういったときには、少し試し、質問を繰り返します。

質問の内容はこれに落ち着きました。

自然環境の変化での意思決定という意味では、災害であっても同じです。
参考にしてみてください!


投稿者名 上野陸 投稿日時 2019年05月15日 | Permalink

「アクセルとブレーキ踏み間違い事故」はなぜなくならない

もしものとき自分のいのちを守る

もしものとき自分のいのちを守る

こどもだけのときにも災害は起きます。 「自分のいのちを守る」ための『72時間サバイバル』です。



サニーサイドアウトドアスクール 校長の上野です。
アクセルとブレーキの踏み間違い事故がなくなりません。

事故を起こすと悲惨になることが分かっていてもなくならないということは、構造上だれにでも起こると考えたほうが妥当です。
自分が加害者にならないようにするためには、事故のメカニズムを知ることと自分事として対策をすることが現実的です。


「一昔前に流行ったMT車の場合、アクセルとブレーキの他にクラッチとの連携操作が必要だったので、そのことが事故防止に貢献し、踏み間違いによる事故は問題になるほど発生していませんでした
AT車暴走事故防止の決定打「ナルセペダル」が普及しない理由 | DOL特別レポート | ダイヤモンド・オンライン

特に渋滞時にオートマ車は便利です。
便利なものが普及するのはしかたがないことです。
私は、まれに仕事でマニュアル車を運転することはありますが、大半はオートマ車です。


人間は驚いた時に逃げるための準備反射、すなわち“踏ん張る”動作が発生するので、ペダルに足が乗っていれば、それを踏み込む状況が発生します。ブレーキペダルに比べてアクセルペダルを踏む回数ははるかに多く、同じ動作を繰り返すに従って、アクセル操作の方がより反射的に素早くできるようになってしまいます。このメカニズムによって、事故に遭いそうな場面で、ブレーキでなくアクセルを踏んでしまう場合があるのです。これが、ペダルの踏み間違いの発生メカニズムの1つといえます」(松永氏)
AT車暴走事故防止の決定打「ナルセペダル」が普及しない理由 | DOL特別レポート | ダイヤモンド・オンライン

アクセルとブレーキのペダルは隣にあり、踏むという行動も同じです。間違いやすい構造といえます。


「突然の加速」に起因する事件を調査してきたのだ。
低速で走行中の、あるいは完全に停車中の車が、急にスロットル全開で走り出す事故は、早くも1930年代に報告されているが、オートマチックトランスミッションの採用とともに明らかに急増した。
 複数の運転者とその弁護士は、スロットルが自然に開いて車が暴走し、止めようとしてもブレーキが効かなかったと、強く主張したが、1989年のNHTSAの最終報告書、いわいる「シルバーブック」によれば、ブレーキとスロットルが同時に故障し、後でまたさっと正常な状態に戻って、しかも全く証拠を残さないと言うような事は、過去の機械的欠陥の事例からは説明がつかない、とされた。急加速のほぼ全ての事例はひとえに人為的ミスによって引き起こされた、とNHTSAは結論を下している。運転手はブレーキのつもりでアクセルを踏んだん違いない、というのだ。
「最悪の事故が起こるまで人は何をしていたのか」ジェームズ・R・チャイルズ

《ロードアンドトラック》誌によれば、1984年以降に製造されたアウディ5000は、アイドリング時にちょっとした問題があり、エンジンの回転数が不意に上がるーそれほど高出力になるわけではないがーことがあった。複雑に入り組んだ人為ミスのパターンを研究している人たちによれば、急加速する事例がこの形式の車に多く見られるのは、エンジンの回転数が不意に上がるせいだと言う。回転数の上がったことに驚いた運転手が、ブレーキを踏み込もうとして踏み損なうからだと。
腿と足は、腕と手に比べれば力は強いのだが、足は手よりも運動能力が劣り、強い恐怖を感じるような状況ではことにその傾向が強い。

「最悪の事故が起こるまで人は何をしていたのか」ジェームズ・R・チャイルズ

ペダルを踏み間違う確率は、運転者が高齢になるほど増加するし、また、縦列駐車の場合のように運転者が体をひねってこうを見ながらバックするときにも増加する。もし急加速が起こったら、いかなる場合にも運転者はギアをニュートラルに入れ、イグニッションキーを切るべきだ。
「最悪の事故が起こるまで人は何をしていたのか」ジェームズ・R・チャイルズ

どうでしょうか?

アクセルとブレーキの構造、人の生理的な行動から「アクセルとブレーキを踏み間違える」というメカニズムがある以上は、誰にでも起こる可能性があります。

自分が加害者にならないためにも、
「もし車が暴走したとき」あなたならどうしますか?


『もしものとき、自分の命を守る』『もしものとき、行動ができる』ためのこども災害サバイバル教室「72時間サバイバル」の情報はこちら!


投稿者名 上野陸 投稿日時 2019年05月10日 | Permalink

災害時の連絡方法は?

もしものとき自分のいのちを守る

もしものとき自分のいのちを守る

こどもだけのときにも災害は起きます。 「自分のいのちを守る」ための『72時間サバイバル』です。



こんにちは、サニーサイドアウトドアスクール校長の上野です。
災害時の会社や家族への連絡方法はどのように考えていますか?

すぐに思い浮かべるのは携帯電話でしょう。
しかし何か大きな災害が発生すると、被災地に電話が集中し処理能力をオーバーしてしまう輻輳という状態になりつながりません。
何度も掛け直すことによってさらに状況は悪化します。

基地局が被害を被ったり、停電で機能が停止してしまうこともあります。

キャリアの通信規制があります。

SNSはインターネットで通話とは別ルートなので有効です。
親しい人はLINE。仕事関係ではfacebookなど使い分けることができます。
twitterの情報は早いのですが、デマも流れます。一次情報にできるだけ近づくようにして判断してください。

しかし昨年の北海道胆振東部地震では、私の住んでいるところは、携帯電話のインターネットが一日でつながらなくなりました。

災害の被害により、通信手段は確実なものはありません。

災害時の電話以外の連絡方法や、連絡がつかない場合もあるので、「避難する合流場所をいくつか決めておく」「171災害伝言ダイヤルを活用する」「出社か自宅待機かのラインを決めておく」などお互いに行動のガイドラインをあらかじめ決めておく必要があります。


『もしものとき、自分の命を守る』『もしものとき、行動ができる』ためのこども災害サバイバル教室「72時間サバイバル」の情報はこちら!


投稿者名 上野陸 投稿日時 2019年05月09日 | Permalink