はじめてのパラグライダー体験と服装の考え方

アウトドアの服装選びで迷っている初心者の人物を表した白黒ピクトグラム

「何を着ればいいんだろう?」は、はじめての体験でよくある悩みです。


服装は「特別」ではなく「備え」


パラグライダー体験と聞くと、
「専用の服が必要そう」「アウトドアに慣れていないと不安」
と感じる方もいるかもしれません。

でも大切なのは、特別な装備ではなく、
環境に合った、無理のない服装です。



 


日本の自然は、思っている以上に変化が大きい


日本は中緯度に位置し、四方を海に囲まれています。
はっきりとした四季があり、

・夏は35℃を超える暑さ

・冬は氷点下を下回る寒さ

さらに、日本特有の湿度が加わります。

この「気温 × 湿度 × 風」という組み合わせが、
体感温度を大きく左右します。



 


朝霧高原では、なぜ寒く(涼しく)感じやすいのか


朝霧高原のパラグライダーテイクオフは、
標高およそ1,000m にあります。

気温減率(高度と気温の関係)

一般的に、気温は
100m上がるごとに約0.6℃下がる と言われています。

つまり、

海抜0m地点と比べて

標高1,000mでは

約6℃気温が低い 計算になります。



 


さらに「風」が体感温度を下げます


体感温度は、風によっても大きく変わります。
目安として、

風速1m/sごとに、体感温度は約1℃下がる

と言われています。

パラグライダーの飛行速度は、
およそ 36km/h(約10m/s)。

つまり、飛行中は
体感温度が約10℃下がる ことになります。



 


 

合計するとどうなるか

  • 標高による気温低下:約6℃

  • 風による体感温度低下:約10℃

合計すると、

都市部(標高の低い場所)と比べて、
朝霧高原でのフライト時は、
何も対策をしないと体感温度が約16℃低くなる

計算になります。

「思ったより寒い(涼しい)」と感じる理由は、ここにあります。
 


 


動いている時と止まっている時の差

パラグライダー体験では、

  • 準備や移動で少し体を動かす時間

  • 待ち時間

  • 空中で風を受けている時間

が混在します。

そのため、

  • 動くと暑い

  • 止まると一気に冷える

という差が生まれやすく、
体温調整できる服装がとても重要になります。
 


 


基本は「重ね着(レイヤリング)」

むずかしいことは必要ありません。

  • 肌に近い服:汗をかいても冷えにくいもの

  • その上:暖かさを足せるもの

  • 外側:風を防げる上着

暑ければ脱ぐ、寒ければ着る。
これができるだけで、安心感は大きく変わります。
 


 


服の機能に「万能」はありません

服の機能は、
環境と目的が合って初めて発揮されます。

高機能素材でも、すべてに対応できるわけではありません。
どんな服にも一長一短があります。

だからこそ大切なのは、
「完璧な服」を探すことではなく、
NGになりやすいものを避けることです。
 


 


注意したい服装(NGになりやすい例)

  • 冬に冷感を目的とした素材

  • 夏に保温を目的とした素材

また、
**吸湿発熱素材(ヒートテックなど)**は要注意です。

日常生活では便利ですが、

  • 動くと暑くなりすぎる

  • 汗が残りやすい

  • 汗冷えしやすい

といったことがあります。
 


 


この服装の考え方は、防災にもつながります

私たちは、
暑ければ冷房、寒ければ暖房と、環境を変化させ、以前の王様のような快適な暮らしをしています。

しかし、巨大地震などで停電が起きると、
一気に外気温に左右される生活になります。

  • 体温を守る

  • 状況に応じて調整できる

この服装の考え方は、
アウトドアだけでなく防災にも役立つ知恵です。
 


 


まとめ

はじめてのパラグライダー体験で大切なのは、

  • 特別な服ではなく

  • 環境を知ること

  • 無理のない重ね着

  • 合わないものを避けること

それだけで、
体験はぐっと快適で安心なものになります。

空を飛ぶ体験をきっかけに、
**「服装で自分を守る」**という視点も、
ぜひ持ち帰ってください。
 


 


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    https://sunny-side.net/blog/パラ/entry-955.html
    → 初参加の方が感じやすい不安や、安心して体験できる理由を解説しています。

  • 朝霧高原でパラグライダーが飛びやすい理由とは?
    https://sunny-side.net/blog/パラ/entry-956.html
    → 風・地形・環境の特徴を知ることで、服装の考え方もより理解しやすくなります。

  • タンデムパラグライダー体験の詳細・ご予約はこちら
    https://sunny-side.net/course/#tandem
    → 服装の考え方を理解したら、実際の体験内容はこちらから確認できます。
     


     


投稿者名 上野陸 投稿日時 2026年01月09日 | Permalink

3.11から何を学ぶ

みなさん、こんにちは。

サニーサイドアウトドアスクールの上野です。

東日本大震災から9年が経つのですね。

あの時は、地震や津波、原発で大きな被害がでました。

今は、世界的に新型コロナウイルスで大きな影響がでています。

私たちは、あの未曾有の大災害から何を学部のでしょうか。



『阪神・淡路大震災以降、「災害関連死」と認定された犠牲者は少なくとも約5千人に上る。避難生活の厳しさから心身の調子を崩した例が多いとみられる。』

新型コロナウイルスを閉じ込めようと、学校の休校をはじめ、大きなイベントの自粛、旅行、外食がためらわれています。

社会は混乱し、経済の停滞が表面化しています。

そのダメージは、低体温症のように末端から発症します。

人は、肉体だけでできてはいません。

精神が健全であることも重要です。

経済は、社会の血液のようなものです。

それが滞ることは社会がダメージを受け、その一員である人に影響を及ぼします。

「災害関連死」のような事態にならぬようにしなければなりません。

それには、バランスが大切です。

人混みを避けることは大切ですが、仲間と適度にコミュニケーションをとることも大切です。

家にこもり過ぎずに、太陽を浴びて適度な運動は免疫力をあげます。

新型コロナウイルスは、すぐに治るかわからない状況です。

長期戦なることも想定して、削られないようにしていきましょう。


投稿者名 上野陸 投稿日時 2020年03月11日 | Permalink

不安の取り扱いについて


みなさん、こんにちは!

サニーサイドアウトドアスクールの上野です。

新型コロナウイルスの収束が見えなく、社会に不安が広がっています。

この不安の取り扱いについて考えます。

不安は、漠としているから不安なのであって、それを感じている原因を見つけることが必要です。

長年、パラグライダーやハンググライダーで空を飛ぶことを生業としてきました。
このスポーツの特徴は、一定のリスクを抱えていることです。

目に見えない風を相手にする。
自然は変化する。
正しい使い方で道具を使用しなければならない。

安全にフライトするために、セオリーに従ってチェックをしリスクを回避しています。

しかし、時には変化の兆しが明白ではないことも起こります。

この時に感じた不安が、損失のサインやアラームとして機能することがあります。
いわゆる虫の知らせです。

人間、すべてのことを意識的に認知することはできません。

不安の原因を追求し対応策を施すことで、未然に事故や損失を防ぐことができます。
これで何度も助かりました。

それとは反対に、不安を押し込めてしまうと、誤った認識をしてしまうことがあります。

風で揺れているカーテンが、お化けに見えてしまうやつです。

そして、不適切な行動をしてしまうと悪い影響が出てしまいます。

今回のマスクやトイレットペーパーの買占め行動です。

過去に、関東大震災で、災害による情報不足や先の見えない不安から、犯人探しや差別行動などがエスカレートして悲惨な事件が起こっています。

不安を押し込めるのではなく、勇気を持って見ることが大切です。


投稿者名 上野陸 投稿日時 2020年03月05日 | Permalink

知的ワクチン


みなさん、こんにちは

サニーサイドアウトドアスクールの上野です。

前回「マスク、トイレットペーパーの買い占めについて」書きました。

「人々の間に、差し迫った脅威が共有されている」
「全員に行き渡らない」
この条件が揃うと、人々はパニック行動を起こしてしまいます。

トイレットペーパーは、在庫があるといくら業界団体が広報しても店頭にいつもトイレットペーパーが積まれている状態になるまでは人の不安感は消せません。すでにデマが一人歩きしている状態です。

新型コロナウイルスが収束するまでは、見えない不安感のため、デマや流言で、群衆のパニック行動が起きる可能性があります。

今回は、デマや流言に惑わされないためにはどうするのかを考えます。

知的ワクチンという考えです。


知的ワクチン
 未だ経験していない苦難や災害に対して、それに対抗する力、免疫力を、我々日本人が持たなければならないだろう。そして、そのために必要なのは知的予防接種ではないか。

 つまり、「知的ワクチン」である。

 ワクチンは、感染したことのない病原体から人や動植物を守るために、病原体またはその一部を人工的に用いて疑似感染を起こすことで、その病原体に対抗する抵抗力(抗体)を作り出す物質(医薬品)である。

 同じようなアイディアの延長線上に、知的ワクチンがある。

 私は「読むワクチン」「聞くワクチン」など、素敵なワクチンがこの際特に必要だと思う。私的ワクチンを自覚的に自分自身に打つことで免疫力を持たなければならない。

『どんな災害も逃れる処方箋 疑似体験「知的ワクチン」の効能 広瀬弘忠 著

災害など異常時における人の行動は、同じような傾向を持ちます。

知的ワクチンとは、過去にあった出来事から学ぶことです。
トイレットペーパー騒動は、1973年のオイルショックで同様の買い占め行動が起こり混乱しています。

デマや流言が発端で、連鎖的にパニック行動を止めるためにはどうしたら良いのでしょうか。

アドラー心理学では、人は家族から学校、地域、国など共同体に所属していて、判断に困ったらより大きな共同体を考えよ、といっています。

家族など身近な共同体のために、持てるだけ買い占め、買いだめしてしまうのではなく、もしその地域で買い置きや必要な人のために、一ヶ月分だけにしておこうと節度を持つものです。


〜人は一人だけで孤立して生きているのではなく、全体との関わりの中で生きているわけですから、全くの私的な、あるいは個人的な意味漬け(私的感覚)ではなくコモンな(普遍的な)判断としての「コモンセンス」を持つことが有用であり、重要である、とアドラーは繰り返し説いていています。(『個人心理学講義』28から9ページなど)。

コモンセンスは、しかし常識とは必ずしも重ならないので、「共通感覚」と言うこなれない言葉を使うことにしています。今現に私たちが属している社会の通念に合致しているのがいいのか、それに対してノーと言うのがいいのか判断に迷ったらより大きな共同体を考えよ、とアドラーはいってきました。

『アドラー心理学入門』岸見一郎 著 より

目に見えない感染症や災害時の時には、条件が重なると群集心理によるパニック行動が発生して、全体としては誤った行動をとり、事故に発展することがあります。

すぐに反応するのではなくて、考えるという習慣が必要です。


刺激と反応の間には選択の自由があるという原則である。
選択の自由の中にこそ、人間だけが授かり、人間を人間たらしめる4つの能力(自覚、想像、良心、意思)がある。

『7つの習慣』スティーブン・R・コヴィ 著

まだ収束は見えないとはいえ、ライフラインや物流が止まっているわけではありません。

自分はどの情報に反応し、どのような行動をとったのか。

最適な行動はどうだったのか。

自分で知的ワクチンを処方してみてはいかがでしょうか。


投稿者名 上野陸 投稿日時 2020年03月03日 | Permalink

マスク、トイレットペーパー買い占めについて


みなさん、こんにちは!

サニーサイドアウトドアスクール校長の上野です。

新型コロナウイルスで、マスクや消毒薬、まさかのトイレットペーパーが買い占めにあい店頭から消えています。
社会全体としては、必要な人に届かないデメリットが発生してしまいます。

心理的な背景を考えます。


1973年のオイルショックで、原油高騰により『紙が本当に無くなるかもしれない』という集団心理が働き連鎖的に、「物不足の恐怖」に直面したためにパニックが発生したと言われている。
(トイレットペーパー騒動出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

オイルショックでのトイレットペーパー騒動は、母に連れられて買い物に行ったことををうっすらと覚えています。

現在、静岡県の富士宮市に住んでいるのですが、お隣の富士市はトイレットペーパーの生産が国内市場の3割を超えています。
しかし、この地域でもトイレットペーパーが店頭から消えていました。



オイルショックから47年たっていますが、人は変わっていないなと感じます。

群衆のパニック行動は、時に大きな事故を起こすことがあるので注意が必要です。

一般に切迫した緊急事態には、正常性バイアスや同調性バイアスによって行動できない人の方が多いことが知られています。

パニック行動になるにはいくつかの条件が必要です。


①緊迫した状況に置かれているという意識が、人々の間に共有されていて、多くの人々が、差し迫った脅威を感じている。

②危険を逃れる方法がある、と信じられること。

③脱出は可能だという思いはあるが、安全は保障されていない、という強い不安感があること。

④人々の間で相互のコミュニケーションが、正常には成り立たなくなってしまうこと。

『人はなぜ逃げ遅れるのかー災害の心理学』広瀬弘忠 著

「原材料が中国から輸入できなくなる」と言う流言が発端のようです。

しかし、業界団体が、在庫は十分にあると言ってデマの火消し情報を出しているのにもかかわらず、一向に収まる気配がありません。

新型コロナウイルス収束が見えていない不安感が背景にあります。

また、現在は、マスクやトイレットペーパーが全員に行き渡らないために、買い占めの連鎖を生んでいます。

群衆心理が働いてしまっているので、商品が店頭に積まれるまでは治らないかもしれません。

災害時にも同様のことが発生します。
次回は、私たちはどのような備えや考えを持ったらいいのかを考えます。

それではまた!



投稿者名 上野陸 投稿日時 2020年03月02日 | Permalink