ヒトは個人と集団では行動が違う?

もしものとき自分のいのちを守る

もしものとき自分のいのちを守る

こどもだけのときにも災害は起きます。 「自分のいのちを守る」ための『72時間サバイバル』です。


 こんにちは、サニーサイドアウトドアスクール 校長の上野です。
 私がまだハンググライダーを飛び始めて日が浅かったころ、ある日の午後「これは寒冷前線通過ではなかろうか?」とベテランがいなく経験が少ない私たちのグループは様子見していましたが、他のパイロットたちは次々とテイクオフしていきました。早く降りればいいと考えたパイロットもいたと思います。
 前線特有の全面リフト帯で高度を下げようとしても簡単に下がらず、時はすでに遅くランディングの風は突風へと急変していきました。

 今考えると、知識不足というよりは、異常は感知していたが、集団のメカニズムが負の方向に働いていたと考えられます。

 また次々とテイクオフしていくさまは、無意識に集団の行動や空気を読もうとする集団同調バイアスに当てはまっています。合理的ではない行動、逃げ遅れにつながっています。

 次の図は、先日学んだロジャースのイノベーター理論です。通常はマーケティングの文脈で語られています。
 リスクが迫っているサインがあるにもかかわらず避難が遅れることもあります。
 これも枚挙にいとまがありません。



イノベーター理論とは、1962年に米スタンフォード大学のエベレット・M・ロジャース教授が提唱したイノベーション普及に関する理論。
新商品への購入態度を早い順に5つのタイプに分類したもの。
つりがね式の曲線になっている。
https://www.motivation-up.com/motivation/innovator.html
モチラボ参照

ヒトの行動原理は同じなので、次のように読み解くこともできるのではないでしょうか。

異常事態のサインがあっても、すぐに集団は行動に移せない。


Aviation,Space, and Environmental Medicine誌に発表されたイギリスの心理学者ジョン・リーチ博士の研究によると、運悪く不意の災害に見舞われた時、人の取る行動は次の三つのカテゴリーに分かれます。

1、落ち着いて行動できる人=10~15%
2、我を失って泣き叫ぶ人=15%以下
3、ショック状態に陥り呆然として何もできない状態になってしまう人=70~75%

「新・人は皆「自分だけは死なない」と思っている」山村武彦 著 (宝島社)より

集団が動くには、イノベーター、アーリーアダプターの16%の行動が必要です。率先避難者の存在です。

一人で行動する場合と集団(二人以上)でこう行動する原理は違うことは知っておく必要があります。
津波や土砂災害、噴火など急いで避難しなければならない時など緊急時のストレスがかかった場合ほど、本質的な行動原理が優先してしまう可能性があります。


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投稿者名 上野陸 投稿日時 2019年05月01日 | Permalink