EN-A王道 Φファイ ソナタ インプレッション


あの天才デザイナーハンネス・パペッシュさんが独立した新生パラグライダーメーカー「Φファイ」から、第二弾 「ソナタ」がリリースされました。

第一弾は、最も安全性が高いEN-Aクラス=初級機という従来の常識をくつがえすソアリングモデルという全く新しいコンセプトのグライダー「シンフォニア」でした。

かんたんにいうと、ENとはパラグライダーの安全性能規格のことです。コラップス特性(翼が潰れた時の挙動、回復性)、難易度を示したものです。A,B,C,Dと分かれていてAクラスが安全性が高く、順番にDクラスは難易度が高いことを示しています。


Φファイのラインナップ予定


ハンネス・パペッシュさんは、EN-A、EN-Bクラスのグライダーをつくるのがとても上手いデザイナーです。
Φファイを立ち上げることになった経緯は、パラグライダーをより安全に楽しめるようなグライダーをリアクションよく創るコンパクトな会社にしたかったというものでした。

EN-Aクラスに三機を投入するというコンセプトは今までにないものです。パペッシュさんの安全性に対する意欲が感じられます。



さっそくグライダーを触ってみます。
翼をつくるライズアップ性能がすばらしい。
ライズアップがマイルドでスムーズなのです。
ビギナーが最初につまづくことが多いのがこのライズアップです。
全般に素材の進歩で軽くなっている傾向ですが、一定の速度で立ち上がってくる感覚がいいです。
ライザーに伝わる重さがビギナーにも分かりやすいです。
重すぎることはありませんので。
初めてパラグライダーに触れる人にとってもやさしいです。

フライト特性はとってもマイルドです。
多少オーバーコントロールでも吸収してしまう感じです。



ラインはカラフルでラインチェックもやりやすいです。
ライザーはカラーで分けられています。
チェックミスが少なくなるように配慮されています。



前縁は、柔らかい素材のスティックが入りエアインテークがしっかりと開いています。



前縁の上部は、最新の技術であるジグザクパネルが配置しています。
セルの膨らみを減らす働きがあります。


ソナタの位置はベースラインという言葉を使っています。
ビギナーが初めてフライトするファーストグライダーはこうあるべきだという骨太さを感じました。
ΦファイがEN-Aクラスに3ラインナップ投入する意味が分かりました。
明確にコンセプトを分けると、パイロットのレベル、目的にフィットしたものになります。

パラグライダーのテクノロジーが、安全性や使いやすさに向いていくのは、高齢化社会や成熟期においては必須の流れに思えます。

ソナタは、ファーストグライダーややさしいフライト特性を求める方におすすめです。

Φファイ ソナタ EN-Aクラス
¥420,000(税別)

ソナタの情報はこちら!



投稿者名 上野陸 投稿日時 2018年05月30日 | Permalink

コヨーテ3 P(軽量EN-A)インプレッション


ニビューク社EN-Aシリーズ コヨーテから軽量バージョンのコヨーテ3 Pがリリースされました。
本気度の高い軽量シリーズをリリースしてきたニビューク社。
EN-Aクラスはどんな仕上がりにしてきたのでしょうか。


EN-Aクラスというと、初級機といったイメージを持つかもしれません。
最新のテクノロジーやマテリアルの進化にともない、EN-Aクラスにバリュエーションが増え個性的なグライダーが登場し始めました。
安全基準がもっとも高いEN-Aクラスのフライトの幅が広がることは、リスクを含んでいるこのスポーツにとって歓迎すべきことです。



ニビューク社は、Amazing Adventuresと題して軽量グライダーにまつわる冒険をピックアップし推してきました。
グライダー名の後ろのPは ニビューク社の軽量シリーズを象徴する文字です。
plumeのpで、羽、羽毛といった意味です。


今回のコヨーテ3 Pのは、EN-Aクラスのシンプルな構造の特徴と相まって、軽量性、コンパクト性、ライザアップ特性、安定性が上げられます。
ノーマルのコヨーテ3(24サイズで4.5kg)でも十分に軽いのですが、3.45kgと1.05kgペットボトル二本分軽くなっています。ミニウイングや一枚翼を除けば、最も軽いグライダーです。
この軽量性とコンパクト性は、ハイク&フライの強力なアイテムとなります。


ハイク&フライは、車やゴンドラでテイクオフまで上がっていたものを、フライトのための手段から、周りの景色や自然観察を楽しみながら自分の足で登りアプローチを楽しむものです。
テイクオフに到着したときの充実感や爽快感は何ともいえないものです。自分の飛び道具を自在に持ち運ぶことができるのは、パラグライダーというコンパクトなギアにだけできるものです。



さっそくグライダーを広げてみよう。
セール上面は、ポルシェスポーツ セミ軽量タイプのスカイテック32g/m2。HOOK4P以上のグライダーとはことなった選択をしています。パラグライダーの取り扱いが慣れていない初心者が選ぶ場合でも安心できる材料です。軽量セールを選ばなくても十分に軽いという判断もあってでしょう。
セール下面は、軽量タイプのスカイテック27g/m2です。
ちなみなセールを引きずらないように注意がされています。
ラインは、ボトムラインは被膜つきです。ミドルとトップはむき出しのアラミド製ラインです。




ライザーはちょっと細い12mmのテープが採用されています。
ダイニーマのテープではないので、ライザーの捻れなどは発見しやすいと思います。



強めの風だったので、真ん中1/3だけエアインテークを広げライズアップ。ノーマルのコヨーテ3もライズアップ特性がいいのですが、さらにイージー。
上面がセミ軽量の記事なので、後縁から風が入り煽られることもなかったです。
ライズアップ特性、取り扱いやすさはとてもバランスがいい。初心者にとってはこれメリットです。
リラックスしてテイクオフができます。


ちょっとテイクオフでグランドハンドリングで遊んでからフライト開始!
Aクラスなので、ブレークコードのストロークは長めです。
まずはリッジでお試し。強めのサーマルがきたので旋回します。
春のコンディションです。小さく強いサーマルです。
Aクラスは安定性が強いので、ハイバンクを維持する操作が必要です。
風が強めなので流されないよう注意します。
上げきることができました!



軽量機特有の翼の柔らかさはあまり気になりませんでした。アスペクト比が低いこともあるかと思います。
構造的にしっかりしているイメージでした。
ビッグイヤーは、導入、維持はイージーです。
戻りもスムーズです。
ランディングは風が強めでしたが、吹き抜けをうまく使い高度を調整できました。
Aクラスの安定性は気楽です。



コヨーテ3 Pは、初心者から扱えるグライダーです。
将来的にハイク&フライを考えている、より軽いライズアップや軽量化したい方におすすめです。

EN-Aクラスに軽量機、パフォーマンス機というバリュエーションが広がるのは、本格的にグライダーが成熟期に入ってきたことを意味しています。
テクノロジーのベクトルが安全性に振れてくるのは、いいことだと思います。
(「安全性が上がった分リスクを取る傾向がある」とヒューマンエラーで教わりました。気をつけましょう。)

EN-AクラスからEN-Bクラスというステップアップはわかりやすい成長の目安でありました。

これからこのスポーツが成熟期を迎えるに当たって、人それぞれに合った自分基準、目的を持ち、それぞれに合ったパラグライダー選びがあってもよいのではないでしょうか。

コヨーテ3 Pの詳しい情報はこちら


投稿者名 上野陸 投稿日時 2018年05月25日 | Permalink

ライズアップがいつも同じ方向に傾いてしまう

右翼が潰れながら上がっています


北海道のサニーサイドパラグライダースクール校長の上野です。

久しぶりにパラグライダーワンポイントアドバイスです。

今回はフロントライズアップでいつも同じ方向に傾いてしまう方へのアドバイスです。

翼は左右均等にセットアップしました。

風に正対しています。

ライズアップ開始!

なぜかいつも同じ方向に傾いてしまう?


右手が前方に出ています


いつも同じ方向に傾いてしまう方は、次のことに原因があるかもしれません。

片方のライザーを引き込んでしまう。
片方のライザーを押し出してしまう。
身体がねじれる。
などパラグライダーにかかる力が左右不均等になってしまうということが考えられます。

筋力差や長時間同じ動作、姿勢を続けることによって身体に癖が生じる場合があります。

とくに緊張しやすいテイクオフ。無意識に過剰な力が入りやすい状況です。

無意識の行動をコントロールするしかありません。

練習で正しいフォームを身につけましょう。


思い立ったが吉日
今年こそパラグライダーを初めてみよう!
ただいま新入生募集中です。
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投稿者名 上野陸 投稿日時 2018年05月14日 | Permalink