あなたは逃げることはできるのか?
みなさん、こんにちは!
サニーサイドアウトドアスクールの上野です。
防災プログラムの体験とパラグライダーのスクールをしています。
防災に役立つ情報をお届けします。
津波が迫っているにもかかわらずゆっくりと歩いている人の映像や、危機的な状況でも逃げ遅れている人の存在を知って疑問に思ったことはありませんか。
危機的な状況に置かれている人は、第三者とは違う「正常性バイアス」という心理的な思い込みや偏見が働きます。
今日のテーマは、「あなたは逃げることはできるのか?」です。
東日本大震災で、釜石市の小中学生3,000人のほとんどが全員が想定外の大災害を生き抜くことができた「釜石の奇跡」といわれた事例と、石巻市の大川小学校で、学校管理下で生徒73人と教員10名が犠牲となった戦後最悪の事故とされてる「大川小学校の悲劇」の事例を考えます。
両地区ともリアス式海岸で津波の被害が大きかった地区です。
避難を阻害する正常性バイアスについて考えます。
正常性バイアスとは、人間は「危険が迫っている」という情報を与えられても、「どうせ大したことにはならない」とか、「自分は大丈夫だろう」などと勝手に思い込み、危険を軽視してしまうのだ。
こうした心の働きは、日々の生活を送るうえで生じるさまざまな変化やア新しい出来事に対して心が過剰に反応して疲弊しないためには必要なものだ。しかし、災害時においては、避難にや初動対応の遅れにつながり、命の危険にさらすことになってしまう。
『釜石の奇跡 どんな防災教育が子供の”いのち”を救えるのか?』 NHKスペシャル取材班 著 より
正常性バイアスは強力に働きます。
釜石市では2004年頃から小中学校の津波防災教育に取り組み、「自分のいのちは自分で守る」という「姿勢」を身につけさせていました。
これが、自分だけではなく、仲間や幼い兄弟、正常性バイアスに捉われた大人の家族をも動かし津波から救っています。
一方、大川小学校では津波災害への準備不足から、地震発生から50分あまりあったにもかかわらず意思決定できずに、行動に移した時にはすでに遅く津波に巻き込まれました。
南海トラフ巨大地震が懸念されている今、悲劇が繰り返されず生き残るためには何が必要なのでしょうか?
子供たちが素早く避難できたというと、「子供は経験が少なく、既成概念がないから、教えられた通りに素直に逃げることができるんだ」と決めつける大人が少なくない。
だが、子供たちの取材をしていると、そんな単純な理由だけでは、184人の児童全員が助かることはなかったように思う。学校で津波の猛威がどれほどのものかを学び、どのようにすれば命を守ることができるのか、きちんと教育を受けていたからこそ、「犠牲者ゼロ」が実現できたのだ。
『釜石の奇跡 どんな防災教育が子供の”いのち”を救えるのか?』 NHKスペシャル取材班 著 より
多くの子供たちが、「実際に走って逃げる訓練をしていたから、地震の時にもすぐに体が動いた」と答えているということは、こうした実践的な訓練が、いざというときに大きな効果を上げることが証明されたといえるだろう。
『釜石の奇跡 どんな防災教育が子供の”いのち”を救えるのか?』 NHKスペシャル取材班 著 より
いつ来るか分からない災害で、あなたは適切に行動できるでしょうか。
過去の事例から何を学ぶのでしょうか。
それではまた。
参考文献
『釜石の奇跡 どんな防災教育が子供の”いのち”を救えるのか?』 NHKスペシャル取材班 著 より
『止まった刻 検証・大川小学校』 河北新報社報道部
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