【登山外来へようこそ】山のリスクについての知識 



パラグライダーは、山のフィールドでフライトすることが多いです。

車でアプローチをすると自覚はないかもしれませんが、テイクオフまでハイクしてみると実感できるでしょう。

一旦フライト中に何らかのトラブルが起き、山の中に不時着すると山岳の知識が必要になります。

普段のフライトでもリスクを軽減する意味で役に立ちます。

国際山岳医の資格を持つ、山岳ファーストエイドの第一人者である大城先生の新刊著書です。


最近気になっていること。一部抜粋 

山岳での三大死因の一つである「心臓突然死」。

その九割を34歳以上の男性が占めているというデータがあります。

パラグライダーパイロットは、かなりの人が当てはまるのではないでしょうか?(自分も含めて)

実際数年に一度、心臓突然死と思われる事故が起きています。

パラグライダーは、激しい運動ではないように感じるかもしれませんが、テイクオフ前、気流の激しい変化、ランディング前などは、心拍数が大きくなります。

事前の準備運動、ウォーミングアップは必要です。

血液をサラサラな状態に保つために、水分をこまめにとることも大切です。


本書からの金言です。

「山が危ないのではなく人が危ないのです。」

「山で求められるのは医療よりも知恵」

「山では治すことができません。”できるだけ悪くしないで病院に運ぶ”ことが目標です。機転の利いた対応と知恵が山では大変有益です。」

「自分の身を守るために勉強してください。」

「これらの知識は遭難したときのために学んでおくよりも遭難しないために学んでおくものです。」

本の内容はわかりやすくサクッと読むことができます。



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まだパラグライダーをしたことがない方から初心者向けの記事です。


人気記事はこちらです!
1.Q.次のグライダーを選ぶ基準は?
2.パラグライダーの進化について
3.冬のフライトで、手の冷えを我慢し過ぎると…
4.あなたにぴったりのグライダーをチェックします!
5.冬はアンダーウェアをかためよう

【はじめてのパラグライダー】シリーズ
初心者向けの記事です。

【認知特性】シリーズ中級者、上級者向けの記事です。



投稿者名 上野陸 投稿日時 2016年08月21日 | Permalink

はじめてのパラグライダー 【た】対地速度、対気速度

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パラグライダーは、空気の流れの中を飛んでいます。
風の流れが影響する相対的なものなのです。
地上では実感しにくい概念ですがお付き合いください。

パラグライダーには二つの速度があります。
【対地速度】と【対気速度】です。
文字どおり、
【対地速度】は、地面との速度のことです。
【対気速度】は、空気との速度のことです。
といっても???ですよね。

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パラグライダーは、翼の周りを流れる空気翼の力学的な作用によって揚力を生みだします。
翼の周りに空気の流れがなければ失速してしまいます。【対気速度】が必要な理由です。

空気とか水は、流体という性質を持っています。
目に見えない空気は理解しにくいので、同じ流体という性質を持つ水で説明します。

【対地速度】を川と船の関係で説明します。
一定のエンジンの出力で、川上に向かう場合は岸との速度は遅く、川下に向かう場合は岸との速度が速くなるのは分かりますか。

船がパラグライダーで、川の流れが(空気の流れである)風にあたります。

風の流れによって、地面との速度が相対的に変わります。

テイクオフで実感できます。
風があればすぐに浮き、風が弱い状態では走ってやっと浮いたと感じるでしょう。

パラグライダーで飛ぶために必要な風の流れ(対気速度)があります。
必要な揚力に達する対気速度まで、対地速度を上げればよいのです。
向かい風であれば、少しの対地速度で十分な対気速度に達し、風が弱い、あるいは無風、追い風の場合は、がんばって対地速度を上げなければなりません。
走るということです。

ランディングの時に、向かい風では対地速度が遅く着地することができます。
追い風であれば速い速度で着地しなければならないでしょう。
追い風で対地速度を落とそうとして、無意識に対気速度を落とし過ぎると失速しかねません。

風の流れの中でフライトするパラグライダーは相対的である、この特徴を理解することは大切なことなのです。

ゴーゴー!パラ体験はじめました!

北海道のサニーサイドパラグライダースクール

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【はじめてのパラグライダー】シリーズ初心者向けの記事です。

【認知特性】シリーズ中級者、上級者向けの記事です。



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投稿者名 上野陸 投稿日時 2016年06月16日 | Permalink

それでもパラグライダーを勧める理由


パラグライダーの印象は?というと

楽しそう♪
そして、落ちる(汗)

そういう反応が多いです。

確かにこのブログでもリスクに対して書くことが多いです。(苦笑)
その通りリスクがあります。自然の中ですから。

パラグライダーのパイロットは、一かバチかの度胸がないとフライトできないのか?
というとそうではありません。

長く続けている人でもパイロットはフツーのが多いです。

元気な人は多いですね。
元気がある人が始めるのか?
フライトしていると元気になるのか?

両方だと思いますが。

空という自然がフィールドです。
人は鳥のように空を飛ぶDNAはありません。
好奇心を持ち、挑戦するというDNAは持っています。

飛べない人がパラグライダーという道具を使ってフライトするには、自然の制約の中で安全にフライトするという行動を取らねばなりません。

パラグライダーは自然の中での知的なスポーツなのです。
それにはあらゆる感覚を動員して風の変化を感じる感性が必要です。
知識、感性が備わって初めてフライトが成立するのです。

このスポーツが今後必要だと思うのは、

新しい状況に対して、どのように判断して行動していくのか?

今後テクノロジーの急速な発達により、社会は大きく変わっていくと予想されています。
スマートフォンなんてぼくの子供のころにはなかったですからね。

パラグライダーは目にみえない風の変化にどのように対応していくのかということをフライト毎にしています。

意思決定のいいトレーニングです。
ミスがあるかもしれません。
失敗を最小限に食い止めフライトをどう成立させるか?
判断の連続です。

いくらテクノロジーが進化しても、自然をコントロールすることはできません。

資源に限りがある。
自然は震災のような大きなエネルギーが発生する。

コントロールすることができるのは自分の行動です。

その自然を肌で感じ、経験にすること。

自然の豊かさを感じることが大切なんだとろうと思います。

パラグライダーを始めてみませんか


投稿者名 上野陸 投稿日時 2016年05月17日 | Permalink

事故がなくならない理由 再考

ゴールデンウイークになるとアウトドアでの事故の報道が多くなります。

自戒も込めて、今年の春にJPAの事故対策会議のセミナーが行われた芳賀繁繁先生の「事故がなくならない理由」を読み直してみました。

その心理的なメカニズムを知り、「リスクはゼロにできない」ので積極的にリスクマネジメントをしていくのは、パラグライダーだけではなく変化が早い時代にはいいトレーニングになるのではないでしょうか。






ゴールデンウイーク最後の週末もハッピーランディングで締めくくりましょう!



投稿者名 上野陸 投稿日時 2016年05月07日 | Permalink

Q.次のグライダーを選ぶ基準は?

IKUMA AR比5.7(左)とHOOK4 AR比5.4(右)同EN-Bクラス


桜前線が関東を通過して春本番です。

春は心機一転したい季節でもあります。

最近どのパラグライダーに乗り換えたらいいの?という質問を受けます。

これまでは、EN認証が一般的な目安でした。
EN-A,B,C,Dってやつね。

コラップス(潰れ)、降下手段などの挙動、回復性など評価するものです。

この評価基準が、パフォーマンス、取り扱いやすさと、EN認証はほぼ比例していました。

ところが、最近ではカテゴリーを越えるグライダーが現れてきました。

Bクラスだけど、パフォーマンスがCクラス並みといったことが起こってきました。

それでは何を基準に判断したらいいのでしょうか?

もちろんEN認証には重要な情報が記載されています。

EN認証プラス、アスペクト比(実測)を参考にするといいです。(以下AR比)

アスペクト比とは、縦横比のことで細長さの数値です。

ライズアップを思い出してください。

初級機(AR比低い)と上級機(AR比高い)ではどちらが難しいでしょうか?

翼全体に一定の風が当たりやすい初級機のほうが簡単なのが想像できると思います。

AR比の高い上級機のほうが風の変化の影響を受けやすいのです。

フライト中に気流の変化があった場合は同様のことが起こります。

AR比の高いグライダーのほうがよりカウンター操作を要求されるのです。

AR比(実測)は難易度のイメージがつきやすいと思います。

ではどのくらいステップアップが妥当な線なのでしょうか?

AR比(実測)で0.5までが無理のない範囲かと思います。

しかし二世代かわってしまう、大幅に新しい機構が採用されたなどの要因もあるので総合的に判断することが必要です。

一番大切なことは、自分はどのようなフライトがしたいのか?

ファンフライトをしたいのか、上達するためにパフォーマンスを上げたいのか。

パラグライダーのデザインは日々進化しています。

新しい素材、技術革新などよりよくフライトするための恩恵を無理なく受けてください。


投稿者名 上野陸 投稿日時 2016年04月05日 | Permalink