『逃げる』

もしものとき自分の命を守る



こんにちは、 サニーサイドアウトドアスクール校長の上野です。

今日のお題は「逃げる」です。

これには自信があります。逃げ足は早いです。(笑)
長くパラグライダーやアウトドアスポーツをしているので、天気の急変や自然環境の変化はつきものです。手に負えない状況になる前に尻尾を巻いて逃げることにしています。

しかし天候の変化や大きな災害時に、他の人が行動できているとは思えませんでした。

もしものとき、大きな災害や火災など避難が必要な場合に、人はパニック行動を起こすと思われています。
しかし多くの人は、パニックになるよりも、フリーズして行動できなくなります。
経験的にこれは感じていました。


Aviation,Space, and Environmental Medicine誌に発表されたイギリスの心理学者ジョン・リーチ博士の研究によると、運悪く不意の災害に見舞われた時、人の取る行動は次の三つのカテゴリーに分かれます。

1、落ち着いて行動できる人=10~15%
2、我を失って泣き叫ぶ人=15%以下
3、ショック状態に陥り呆然として何もできない状態になってしまう人=70~75%

「新・人は皆「自分だけは死なない」と思っている」山村武彦 著 (宝島社)より

なぜ人は、すぐに逃げられないのか?

人の心理的なバイアスという、偏見、思い込み、先入観により、思考、判断、行動に影響を与えるメカニズムが働いているからです。

代表的なものは、


正常性バイアス
先入観にとらわれ、異常事態でも「正常の範囲」と誤認し、対応をお誤る心理的傾向。正常性バイアスは心を守る安全弁の機能もある。小さな出来事でビクビクしていては神経がもたない。そこで、影響が少ないと判断した事象は、これは正常の範囲として過剰反応を抑制し心の安定を図ろうとする。

集団同調バイアス
特に集団でいる場合は集団に依存し、無意識に集団の行動や空気を読もうとする。それを「集団同調性バイアス」と言う。みんなが逃げないから自分だけ逃げるのはおかしいとか、みんなが逃げないから大丈夫ではと思ってしまう心理である。

「新・人は皆「自分だけは死なない」と思っている」山村武彦 著 (宝島社)より

では、どうすればよいのでしょうか?

東日本大震災で、「釜石の奇跡」と呼ばれた事例があります。
「釜石市内14小中学校に通う2926人中、学校を休んでいた生徒など5人を除く2921人は全員無事であった。生存率は実に99.8%に上っていた。
群馬大学大学院の片田敏孝教授の指導を受けて防災教育を推進してきた。」


「率先避難者」の必要性

「あなたが逃げないから私も逃げない」という不安の中で、だれか1人が率先して非難をしたら、もしくは「逃げるぞ。逃げるぞ。」と声をかけて避難をしていったら、行動起こすだろうということです。
人が死なない防災 片田敏孝 著 集英社新書

これは、先日の指示ゼロセミナーで言っていたイノベーター理論に当てはまっているのではと思ったからです。
人の行動原理は、経済だろうが避難であろうがそれほど変わらないはず。

イノベーター理論とは、1962年に米スタンフォード大の社会学者エベレット・M・ロジャース教授(Everett M. Rogers)が提唱したモノやサービスが広がる過程に関する理論です。

イノベーターが「率先避難者」に当てはまります。

場合によっては、反射的に行動しなければならないときがあります。
空気を読むより『自分の命を守る』です。


それでは!


こどもだけのときにも、大きな災害はおこります。
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投稿者名 上野陸 投稿日時 2019年04月25日 | Permalink