ところで災害とは?

もしものとき自分のいのちを守る

もしものとき自分のいのちを守る

こどもだけのときにも災害は起きます。 「自分のいのちを守る」ための『72時間サバイバル』です。



みなさんこんにちは!
サニーサイドアウトドアスクール校長の上野です。

今日は災害について考えてみます。

そもそも災害とはなんでしょうか?

人に被害があっての災害です。
大昔のどこかであった大地震で影響がなければ、災害とはいわないということです。


災害とは社会的な概念である。
〜災害の多くは自然現象ですから、世界各国どこでも発生します。しかし、発生する場所によって、当然、起こることは変わってきます。つまり同じ災害であっても、社会のありようによって、また人の対応のありようによって、災害の起こり方は全然違うのです。
(人が死なない防災 片田敏孝 著 集英社新書)

現代の日本では災害の影響は大きくなります。

理由の一つは都市化です。
人口が密集した地域で災害が起こると、社会システムの崩壊により連鎖的に被害が大きくなります。

もう一つは電力への高い依存度です。
昨年の北海道胆振東部地震では、地震の直接的な被害は一部地域でしたが、道内全域が停電するブラックアウトが起こりました。
これにより、生活ばかりではなく、産業、風評被害など多岐に渡り被害が起きました。
これが冬でなくてよかったです。
低体温症の被害が多く起こったでしょう。

南海トラフ地震や首都圏直下型地震が懸念される都市ではどれくらいの被害が及ぶのでしょうか。

何事も便利になり、社会システムが複雑化すると、災害には弱くなってしまいます。

電力の復旧や、公助といわれる救援はすぐに来るか分かりません。

モノや知識の備えは必要でしょう。

それではまた。


こどもだけのときにも、大きな災害はおこります。
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投稿者名 上野陸 投稿日時 2019年04月27日 | Permalink

『逃げる』

もしものとき自分の命を守る



こんにちは、 サニーサイドアウトドアスクール校長の上野です。

今日のお題は「逃げる」です。

これには自信があります。逃げ足は早いです。(笑)
長くパラグライダーやアウトドアスポーツをしているので、天気の急変や自然環境の変化はつきものです。手に負えない状況になる前に尻尾を巻いて逃げることにしています。

しかし天候の変化や大きな災害時に、他の人が行動できているとは思えませんでした。

もしものとき、大きな災害や火災など避難が必要な場合に、人はパニック行動を起こすと思われています。
しかし多くの人は、パニックになるよりも、フリーズして行動できなくなります。
経験的にこれは感じていました。


Aviation,Space, and Environmental Medicine誌に発表されたイギリスの心理学者ジョン・リーチ博士の研究によると、運悪く不意の災害に見舞われた時、人の取る行動は次の三つのカテゴリーに分かれます。

1、落ち着いて行動できる人=10~15%
2、我を失って泣き叫ぶ人=15%以下
3、ショック状態に陥り呆然として何もできない状態になってしまう人=70~75%

「新・人は皆「自分だけは死なない」と思っている」山村武彦 著 (宝島社)より

なぜ人は、すぐに逃げられないのか?

人の心理的なバイアスという、偏見、思い込み、先入観により、思考、判断、行動に影響を与えるメカニズムが働いているからです。

代表的なものは、


正常性バイアス
先入観にとらわれ、異常事態でも「正常の範囲」と誤認し、対応をお誤る心理的傾向。正常性バイアスは心を守る安全弁の機能もある。小さな出来事でビクビクしていては神経がもたない。そこで、影響が少ないと判断した事象は、これは正常の範囲として過剰反応を抑制し心の安定を図ろうとする。

集団同調バイアス
特に集団でいる場合は集団に依存し、無意識に集団の行動や空気を読もうとする。それを「集団同調性バイアス」と言う。みんなが逃げないから自分だけ逃げるのはおかしいとか、みんなが逃げないから大丈夫ではと思ってしまう心理である。

「新・人は皆「自分だけは死なない」と思っている」山村武彦 著 (宝島社)より

では、どうすればよいのでしょうか?

東日本大震災で、「釜石の奇跡」と呼ばれた事例があります。
「釜石市内14小中学校に通う2926人中、学校を休んでいた生徒など5人を除く2921人は全員無事であった。生存率は実に99.8%に上っていた。
群馬大学大学院の片田敏孝教授の指導を受けて防災教育を推進してきた。」


「率先避難者」の必要性

「あなたが逃げないから私も逃げない」という不安の中で、だれか1人が率先して非難をしたら、もしくは「逃げるぞ。逃げるぞ。」と声をかけて避難をしていったら、行動起こすだろうということです。
人が死なない防災 片田敏孝 著 集英社新書

これは、先日の指示ゼロセミナーで言っていたイノベーター理論に当てはまっているのではと思ったからです。
人の行動原理は、経済だろうが避難であろうがそれほど変わらないはず。

イノベーター理論とは、1962年に米スタンフォード大の社会学者エベレット・M・ロジャース教授(Everett M. Rogers)が提唱したモノやサービスが広がる過程に関する理論です。

イノベーターが「率先避難者」に当てはまります。

場合によっては、反射的に行動しなければならないときがあります。
空気を読むより『自分の命を守る』です。


それでは!


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投稿者名 上野陸 投稿日時 2019年04月25日 | Permalink

大災害では人はどのような行動をとるのか


 実際の大地震やテロなどの大きな災害が発生した、日常のシステムが機能不全に陥り、社会は混乱したとき、人はどのような行動をとるのだろうか?

大惨事に直面すると、人間は利己的になり、パニックに陥り、退行現象が起きて野蛮になると言う一般的なイメージがあるが、それは真実とは程遠い。」本文より

『災害ユートピア なぜそのとき特別な共同体がたちあがるのか』 1906年に起きたサンフランシスコ大地震、1985年のメキシコシティの大地震、2001年の911のテロ事件、2005年のニューオリンズを襲ったハリケーン カトリーナの大災害、大惨事後の人々の行動を描いている440ページに及ぶノンフィクションだ。  

 第二次大戦の爆撃から、洪水、竜巻、地震、大嵐に至るまで、惨事が起きたときの世界中の人々の行動についての何十年もの綿密な社会学的調査の結果が書かれている。
 私自身が、2011年東日本大震災、昨年の北海道胆振東部地震で、感じていたことが書かれていた。

 市民は、「地震、爆撃、大嵐などの直後には緊迫した状況の中で誰もが利他的になり、自身や身内のみならず隣人や見も知らぬ人々に対してさえ、まず思いやりを示す。」自発的に必要な食べ物を分配する食堂を運営したり、物資を調達するなどの市民コミュニティが立ち上がり、市民社会が実現する。

 災害によって、長年の心配事や長期的プランは完全に意味を失っていた。人々は今を生きることに集中し、貧しくなるよりは、豊かな気持ちになり、束の間のいつもと違う自分自身を楽しんでいた。
 

 一方、平時に機能するようにシステムができている行政は、エリートパニックという機能不全に陥りやすい。「大惨事が起こると人々はパニックに陥る。」行政がこれを懸念するあまり、発表が遅れたり、過小評価を与えるような表現になったりして、市民の避難が遅れ、低い認識になることが起こっている。

 また「大惨事に人が直面すると人は、退行現象が起きて野蛮や行動に出る」という性悪説を信じる人々が最悪の行動を起こし悲劇が起こる。

 休止期を終えて活動が活発になっている地震活動や火山活動、気候変動による災害が頻繁に起こっている時代に、都市への集中化、電力への依存が進んでいる。
 このような状況で災害が起きれば、被災規模が大きくなることが予想される。


 「災害は決してそれほど遠くにあるものではない。その時に人々がどう行動するかを知る事は、災害への備えにとって決定的に重要だ。そして、人々の立ち直りの速さや、社会的または心理的な反応や、突然の災害がもたらす可能性について学ぶ事は、将来の社会といった持続的な問題のみならず、貧困や経済危機や環境劣化などのよりゆっくりと進行する災害の研究とも関連してくる。 」本文より

 災害の備えはもちろんだが、同時にわたしたちの生活の見直しというのも必要だと感じた。


投稿者名 上野陸 投稿日時 2019年04月19日 | Permalink