「事故がなくならない理由」を聴いて

3/9にJPAの事故対策会議で、立教大現代心理学部の芳賀教授のお話を聴きました。

安全対策、ヒューマンエラーの専門家です。

心理学的なアプローチで事故のメカニズムを解説してくださいました。


新書ででています。KINDLE版もあります。


ミスをしない人間はいない

脳の仕組みから、錯覚、勘違い、動作の失敗、記憶の失敗など発生メカニズムがあり、うっかりミスが発生してしまいます。

どんなに注意していても、注意の失敗をしてしまいます。

ミスをしない人間はいないのです。

レッグベルトの締め忘れの重大性を理解していても事故がなくならないのは理由があるのです。

人はなぜリスクをおかすのか

先日ある校長とこんな話をしました。「練習生からパイロットになって、経験や技術が増えても事故は減らないね。」

まさにこれ「リスク補償行動」。

リスクを超える能力の向上を得ると、新たなリスクへの方向へと行動が変化してしまうのです。

大丈夫かな?

リスクマネジメントと安全への動機付け

ではどのように、リスクをマネジメントしていけばよいのでしょうか?

まずは、リスクはゼロにならない。リスクを認めてやりくりすること。

そして未来への期待が安全動機を高める。

セットアップ時には、指差し呼称、確認会話、ダブルチェックなどのルーチンを行う。それを継続し形骸化しないように動機付けを行う。

気象があやしい時には、良い状況(未来)を待つあるいは勇気ある撤退を行う。

リスクへの意識を高めるミーティングを行うなどでしょうか?


ハングの師匠から安全は作り出すものと教わりました。

このスカイスポーツは、人、機材、気象という要素が揃って初めてフライトが可能になります。

自分を振り返って、リスクテイキングは耳の痛い話でした。

未来へのより良いフライトを目指して、安全への動機付けを行いたいと思います。



投稿者名 上野陸 投稿日時 2016年03月15日 | Permalink

アウトドアを防災に役立てる

3.11東日本大震災から5年が経ちます。

私は茨城県のエアパークCOOで被災しました。

近所の門の瓦が崩れ落ち、山からスギ花粉が一斉に飛んだ時にはただ事ではないことがわかりました。


仲野さん撮影


それから電気、電話が止まり、情報が寸断され、数日は余震に警戒する日を過ごしました。

まずは水と食料の確保です。

水は井戸、川から汲めば大丈夫です。

お米、カップ麺のストックがありました。

普段常備しているアウトドア用品が役立ちました。

シュラフはいつも持っているので寒さ対策も大丈夫でした。

料理用のガスコンロもあります。



キャンプができる装備があれば、衣食住はまかなえます。



大切なのは知識です。

ファーストエイド講習の時に言われました。

「まずは自分の身を守ることが大切。ファーストエイドの知識は事故を未然に防ぐことにもなる。」

アウトドアでは気象の知識が必要です。
観望天気ができれば、限られた情報でも行動の際に役に立ちます。

レスキューレベルの技術と道具があれば、事故や要救助者のレスキュー以外にもロープワークなど役立つことがあります。

遊びながら、自然の中で生きるための知識や技術も学びましょう!



投稿者名 上野陸 投稿日時 2016年03月11日 | Permalink

春の風が吹いてきた



今日は二十四節気の一つ「啓蟄(けいちつ)」で、冬ごもりしていた虫などが動きだす頃です。

朝は一桁台の気温ですが日中は20℃近くになります。

春は朝昼の気温差が大きいのが特徴です。

そうなると空気の運動が大きくなります。

つまりラフな風の状態になるのです。

それにつれてグライダーの動きも元気(激しく?)なるのです。

冬ごもりしていたパイロットは、講習バーンで肩慣らしをして穏やかなタイミングでフライトしましょう。

風に合わせたタイムリーなコントロール、無理をしないフライトでハッピーランディング!



投稿者名 上野陸 投稿日時 2016年03月05日 | Permalink

てふてふ発見!春です


春ですね。
京都のバーズさんにお伺いしました。

なんと最高気温18℃!
今週前半は雪が降っていたのに。

テイクオフでてふてふ発見しました。
里から上昇気流に乗ってテイクオフまで飛んできたのでしょう。



投稿者名 上野陸 投稿日時 2016年03月04日 | Permalink

形状記憶合金ニチノール

ビシっと立ったエアインテーク HOOK4


パラグライダーは、構造やテクノロジーだけではなく、新素材によっても進化します。

前縁を成形しているロッドはナイロン素材です。

NIVIUK社では、2016年度リリースグライダー、HOOK4、IKUMA、PEAK4に形状記憶合金ニチノールが採用されました。

このニチノールは、ニッケルとチタンの合金です。

超弾性と呼ばれる特性はバネのような効果と形状を記憶しクセがつきにくい特性を持っています。

グライダーのセットアップでは、エアインテークがきれいに立ち、ライズアップを助けてくれます。

折りクセがつきにくく、神経質にパックアップする必要はありません。


内側をめくるとこんな感じです


金属であるニチノールは、セールを傷めないように末端処理はしっかりとしています。

ニチノールのエンドはプラスチックのカバーで保護し、さらに熱収縮チューブをつけています。

セールのバテンポケット部には、マイラー素材を縫い付けています。

ニチノールの採用で、ナイロンスティックよりも少ないボリュームで、翼のプロファイルが維持できるため、結果的に軽量になります。

ICEPEAK8やPEAK4のエキスパートパイロットばかりではなく、HOOK4やIKUMA などのファンフライトパイロットにとっても扱いやすさの恩恵を受けることができます。


投稿者名 上野陸 投稿日時 2016年03月03日 | Permalink